YAMAHA PORTATONE PSR-530の修理

我が家にはYAMAHAのキーボード、PORTATONE PSR-530があります。主に子どもがピアノの練習用に使用しているのですが、最近いくつかのキーが反応しなくなってしまいました。それも各オクターブのF#とGが鳴らないという…。この症状から考えるとおそらくキーボード(鍵盤)はパソコンなどと同様にキーマトリクスになっており、縦横のラインのうちの1~2本の接触が悪くなってしまったのではないかと思われました。
PSR-530

このまま捨ててしまうのはもったいないので、内部を調べてみることにしました。内部はとてもシンプルで、基板はコネクタ部、アナログ部、デジタル部、キーボード部、といった感じに分かれています。こちらはコネクタ部の基板ですが、ロジックICやMIDIのためのフォトカプラなどが載っています。
コネクタ部の基板

こちらはアナログ部。三洋のパワーアンプIC LA4705というものがが使われています。データシートを探してみると、15W×2のステレオパワーアンプのようです。
パワーアンプ

デジタル部はこのようにシールドで覆われています。アナログ回路へのノイズ混入を防ぐためなのでしょう。
デジタル回路のシールド

シールドを外したところ。いくつかのロジックICのほか、YAMAHA製のXT89850というLSIと三菱の1M bit(128K×8bit)のC-MOS SRAM M5M51008が載っています。XT89850はおそらくCPUと音源チップを集積したものなのだと思われますが、外付けのROMもないようですので音色波形のROMもこの中に入っているのでしょうね。
デジタル部の基板

キーボード部にはこのようにコントローラICと思われるYAMAHAのXR951A0というチップが載っています。おそらくパソコンのキーボードコントローラ(8049など)とよく似たワンチップマイコンなのではないかと思われます。(こんなところで売ってたりしますね。CPUと書いてありますのでやはりワンチップマイコンなのでしょうか。) キーボードコントローラ基板からはキーボード本体に向かってフラットケーブルが伸びています。キーボードは左右2つに分かれており、それぞれに7pin/5pinのフラットケーブルが接続されています。また、12pinのフラットケーブルは両方に接続されており、合計すると12×12のキーマトリクスになっているようです。下の画像で左右に分かれているグレーのケーブルが5pin/7pinのケーブルで、スポンジで覆われているのが12pinのケーブルです。(12pinのケーブルは正確には画像で向かって左半分のキーボードに接続され、左半分と右半分の間も12pinのケーブルで結ばれています。)
キーボードコントローラ

キーボード本体を分解したところ。スイッチングダイオードがたくさん並んでいます。
キーボード (1)

キーボードの接点部分。一つのキーに対して2つの接点があり、それぞれにダイオードが接続されているようです。鍵盤側には電卓などと同じような導電性ゴムが使われているようですが、ちょっと特殊な形をしていますね。ここからはあくまでも憶測ですが、このキーボードはタッチレスポンスに対応しています。キーを抑え込む力の強弱でどちらの接点がONになるかが変えてあり、2つの接点がONになる時間差によって打鍵速度を検出しているのではないでしょうか。
キーボード (2)

というわけで本題の修理ですが、上記のように各オクターブのF#とGが鳴らないという症状からは12pinケーブルの接触不良を疑いました。テスターでチェックしてもケーブルの断線はなさそうでしたので、一旦コネクタを外して再接続し、ついでにキーボードの接点をクリーニングしておきました。そして組み立てなおしてみると…みごとに直っていました! うちの子たちどれだけ真剣にピアノを続けるかわからないので(もちろん、続ける気があるならちゃんとしたピアノかせめて電子ピアノを買いたいところですが…)、もうちょっとこれで頑張ってもらうことにします。

※本サイトで紹介する内容は、すべて個人的研究の範囲内で行っていることです。ここに書かれた内容を実行したことによる、データ(クラウド上を含む)・ソフトウェア・ハードウェアの障害および金銭的損害について、私が責任を負うことはできません。重要なデータはあらかじめバックアップを行い、内容を十分に理解したうえで、ご自身の責任の下で行ってください。

YAMAHAの現行機種です
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ポケミクを歌わせてみました

前回の記事で紹介したポケットミクですが、もう少しちゃんと歌わせてみることにしました。とはいえ私は作曲なんてほとんどしたことがないので、かなり前にDTMにハマって耳コピをやっていたときに作成した古いMIDIデータを引っ張り出してきました。今回選んだのは河合その子さんの最初の自作曲である「プリズム」です。このデータは以前に旧Nifty ServeのMIDIデータフォーラム(FMIDIDJ)にもアップロードしたことがあるもので、皆さんに気に入っていただけたのかネット上でも時々見かけることがあります。あのころはFMIDIDJにアップしたデータの感想をお互いに述べ合ったりして楽しかったなあ…。

さて、ここからが本題です。Dominoを起動してMIDI(SMF)ファイルを読み込みます。このデータはもともとSC-88Pro用に作成したのでポケミク用に最適化を行い、さらにちょっと気に入らなかったところを微修正してみました。実はこの作業に数時間かかってしまったという…(汗) その次にボーカルパートをMIDIチャンネル1のトラックにコピーし、とりあえずミクの声でうまく演奏できることを確認しました。そのあといよいよ歌詞入力ですが、歌詞を1文字1文字コード表を見ながら変換するのは大変ですので、今回は今回はポケット・ミク ひらがな16進数変換ツールを利用してみました。このサイトはひらがなで歌詞を入力するとエクスクルーシブメッセージの16進文字列に変換してくれますので、これをDominoに貼り付ければOKです。実際は16進数に"h"をつけなければいけませんので完全に自動というわけにはいきませんが、それでもかなり楽になりますね。
ポケット・ミク ひらがな16進数変換ツール

で、とりあえず製作途中のものがこちらです。まだまだミクパートが荒削りなので微調整がいりますね。楽器用のデータにそのまま歌詞を乗せただけですので…(汗)

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それにしてもDTMをやっていると時間があっという間に過ぎてしまいますね。修正しては再生、の繰り返しになってしまいますので…。なんだか楽しくなってまたハマってしまいそうで怖いです。そのうち本物のVOCALOIDにも手を出してしまったりして…(汗)

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tag : 学研大人の科学ポケットミクポケミクNSX-1NSX-39

ポケットミクで遊んでみました

学研の「大人の科学」シリーズのスペシャル企画として、「歌うキーボード ポケットミク」が4月に発売されました。これは、ヤマハが開発したNSX-1(YMW820)という音源チップを使用した製品(楽器)です。ヤマハの音声合成技術であるVOCALOIDは皆さんご存知かと思いますが、本来ソフトウェアで音声合成を行っているVOCALOIDをハードウェア化した"eVocaloid"というものがあります(実際はハードウェア性能の限界から、VOCALOIDと完全に同一ではなく、簡易版とのことです)。このeVocaloid音源とGeneral MIDI(GM)準拠の音源を1チップに集積したLSIがこのNSX-1の正体です。
NSX-1

このNSX-1に、VOCALOID VY1の音声を内蔵させたものがArduino(AVR搭載のマイコンボード)用の周辺機器として発売されていますが、こちらの「ポケットミク」は初音ミクの音声を内蔵させたNSX-1を中心に、単体で使用できる(マイコンボードやPCなどと接続しなくても使用できる)ように構成された製品となります。このようなものが5000円程度で買えてしまうんですから、世の中進歩したものですね。電源はUSB給電または単4乾電池3本を使用するようになっています。
ポケットミクの外箱

箱を開けてみると、本体のほかにマニュアルと本体貼り付け用のシールが入っています。ちなみユーザーから募集したイラストを用いたシールが学研より6/12発売の「『歌うキーボード ポケット・ミク』公式ブック」に収録されるそうです。
セット内容

上記の写真でもわかるとおりポケットミクにはカーボン製のキーボードがついており、ここをスタイラスでなぞることによって歌わせることができます。発声は「ド、レ、ミ…」や「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」、または5つのプリセットされた歌詞で歌わせることができるようになっています。このあたりの使用感についてはこれまでも多数レビューされていると思うので今回は割愛します。本日は、せっかくのポケットミクなので、PCと接続して自由に歌わせる実験をしてみました。Webアプリを用いて歌わせる方法が一般的かと思いますが、今回はあえてMIDIシーケンサソフトを使ってみることにしました。今回使ったのはフリーソフトのDominoです。TAKABO SOFTさんのサイトからダウンロードが可能です。

では、実際にやってみましょう。まずはポケットミクをMicroUSBケーブルでPCに接続し、電源スイッチを「USB」に切り替えます。すると自動的にドライバがインストールされます。
ドライバインストール

Dominoを起動してMIDIポートの設定を行います。伴奏用のGM音源を併用するなら音源定義ファイルにGMを選択しておくと便利です。
MIDI設定

ピアノロール画面で音程と長さを入力していきます。そのあと歌詞をシステムエクスクルーシブとして入力します。エクスクルーシブのフォーマットは以下のようになっています。歌詞の文字コードはマニュアルの裏表紙の一覧表を見ながら入力します。

F0H 43H 79H 09H 11H 0AH 00H (歌詞 … 最大64文字まで) F7H

入力中。
システムエクスクルーシブの入力

最初は1つ1つのノートの直前にひとつずつエクスクルーシブを入れていました。しかし、今回はGM音源の伴奏と合わせて鳴らす実験をしたところ(チャンネル1がeVocaloid, チャンネル2~16がGMに割り当てられています)、このように音ズレがひどい状態でした。eVocaloidはノートONから発声まで時間がかかるようです。これを解決する方法として、休符の間にすべての(64文字分まで可)歌詞を含んだエクスクルーシブを入れてみましたが、それでも音ズレします。

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最終的にはチャンネル1のみ少し音符をずらしてみました(120bpmで16分音符1個分程度=125ms)。
ピアノロールで編集中

まだ微妙な感じですが、ずらす時間を調整すれば何とか実用的に使えそうですね。本当はもっとよい方法があるのかもしれませんが…。

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ポケットミクは一見オモチャっぽい外見ですが、NSX-1が高性能なこともあってコストパフォーマンスはかなり高いと思います。ヘッドフォン端子が付いており、ここからオーディオ機器に接続することもできるようになっています。すでに動画共有サイトにもこれを利用した作品が数多く投稿されていますので、興味をもたれた方は検索してみてはいかがでしょうか。

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