CASIO PB-100F
CASIOのポケコンシリーズ、本日紹介するPB-100Fは、ベストセラー機種PB-100のマイナーチェンジ版とされるPB-100Fです。CPUはPB-700と同じHD61917を搭載、RAM容量は1KBとなっており、ソフトウェア的にはPB-110やPB-120に近いと思われます。

今回は本体と別にマニュアルも入手してあります。PB-100系の日本語マニュアルをあまり所有していないので役立ちそうです。

PB-120と並べてみました。デザイン的にはPB-110やPB-120と近い、黒を基調としたデザインです。PB-110/120と異なりデータバンク機能は備わっていませんので、一部のキーが省略されています。

PB-100系の機種を比較してみました。こうしてみると、PB-100FはPB-100の後継機としてほぼ同等の機能を有していますが、BASICの仕様などは新しいPB-110/120に近いものになっています。その一方、データバンク機能がないなどの点から考えると、PB-110の下位機種と位置づけられていたのだと思われます。
ところで私の入手したPB-100Fはフリーエリアが1568ステップと表示されます。本来なら544ステップのはずですが…。

裏ぶたを外してみると、なんとOR-1が増設されていました。OR-1は意外と手に入りにくいのでうれしい誤算でした。

これでCASIOのポケコン紹介シリーズも一旦紹介とします。今後はまた少しスマートフォン関係の記事を書いていきたいと思います。

今回は本体と別にマニュアルも入手してあります。PB-100系の日本語マニュアルをあまり所有していないので役立ちそうです。

PB-120と並べてみました。デザイン的にはPB-110やPB-120と近い、黒を基調としたデザインです。PB-110/120と異なりデータバンク機能は備わっていませんので、一部のキーが省略されています。

PB-100系の機種を比較してみました。こうしてみると、PB-100FはPB-100の後継機としてほぼ同等の機能を有していますが、BASICの仕様などは新しいPB-110/120に近いものになっています。その一方、データバンク機能がないなどの点から考えると、PB-110の下位機種と位置づけられていたのだと思われます。
データバンク | "F"キー | BEEP | BASIC | RAM | |
PB-100 | × | × | × | 旧 | 1KB |
PB-100F | × | × | × | 新 | 1KB |
PB-110 | ○ | × | ○ | 新 | 1KB |
PB-120 | ○ | × | ○ | 新 | 8KB |
FX-700P | × | ○ | × | 旧 | 2KB |
ところで私の入手したPB-100Fはフリーエリアが1568ステップと表示されます。本来なら544ステップのはずですが…。

裏ぶたを外してみると、なんとOR-1が増設されていました。OR-1は意外と手に入りにくいのでうれしい誤算でした。

これでCASIOのポケコン紹介シリーズも一旦紹介とします。今後はまた少しスマートフォン関係の記事を書いていきたいと思います。
CASIO FX-730P
12月に入って仕事が忙しく、ブログの更新が滞りがちですみません。本日もCASIOのポケコンシリーズの続きをしたいと思います。FX-730Pは、1986年発売のポケコンで、FX-700PやPB-100シリーズの上位機種と考えられます。CPUはFX-750PやFX-795Pと同様にHD61747を2個搭載し、RAMは標準で8KB搭載(RP-8により16KBまで増設可能)しています。

デザイン的にはPB-120(下)などと似たイメージです。PB-120と同様データバンク機能を搭載しておりキー配列も似ていますが、FX-730Pには数式記憶機能がありますのでそれに関連するキーが増えています。また、LCDが24桁に拡張されていますが、本体の横幅はこの通りほぼ同じです。

FX-720Pとも比べてみました。こちらは横幅、高さともほぼ同じですが、FX-720PのほうはRAMカードスロットを内蔵しているため厚みがあります。このようにPB-100シリーズやFX-720Pと横幅が同じであることもあり、FA-3などのオプション機器は共通で利用できるものが多くなっています。

ちなみにこの機種、機械語は使用できませんが、隠しMODEコマンドを使用すればPEEK, POKEは使用できるようです(参考:Vintage Programmable Calculators)。以下に使用方法を書いておきます。ちなみにこの方法はFX-795Pでも同様に使用できるようです。
MODE19(A,B) : POKE A,B に相当
MODE18(A,B$) : PEEK A に相当 (結果は16進文字列の形でB$に格納される)
このポケコンは、当ブログも見ていただいている方から譲っていただいたものです。この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。

デザイン的にはPB-120(下)などと似たイメージです。PB-120と同様データバンク機能を搭載しておりキー配列も似ていますが、FX-730Pには数式記憶機能がありますのでそれに関連するキーが増えています。また、LCDが24桁に拡張されていますが、本体の横幅はこの通りほぼ同じです。

FX-720Pとも比べてみました。こちらは横幅、高さともほぼ同じですが、FX-720PのほうはRAMカードスロットを内蔵しているため厚みがあります。このようにPB-100シリーズやFX-720Pと横幅が同じであることもあり、FA-3などのオプション機器は共通で利用できるものが多くなっています。

ちなみにこの機種、機械語は使用できませんが、隠しMODEコマンドを使用すればPEEK, POKEは使用できるようです(参考:Vintage Programmable Calculators)。以下に使用方法を書いておきます。ちなみにこの方法はFX-795Pでも同様に使用できるようです。
MODE19(A,B) : POKE A,B に相当
MODE18(A,B$) : PEEK A に相当 (結果は16進文字列の形でB$に格納される)
このポケコンは、当ブログも見ていただいている方から譲っていただいたものです。この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。
CASIO FX-840P
本日もCASIOのポケコンを紹介します。CASIO FX-840Pは、以前紹介したFX-860Pvcの前機種であるFX-860Pの下位機種です。デザインや性能はFX-860P/Pvcとほぼ同じですが、116種の組み込みプログラム(SCENTIFC LIBRARY)やデータバンク機能、数式記憶機能が省略されている代わりに6種の組み込み演算機能(行列、複素数、2/10/16進演算、統計)を内蔵しています。また、本体メモリ容量は8KBとなっており、FX-860P/Pvcの32KBより少なくなっています。

今回手に入れたものは元箱、マニュアルつきでした。

マニュアルはこのようにFX-840P/841P/860Pで共通となっています。また、FX-840PはCASLを搭載していますので、CASLのマニュアルが別途付属しています。

FX-860Pvcと並べてみました。当然のことながらデザインはかなりよく似ています。FX-840Pで省略された機能(データバンク、数式記憶、組み込みプログラム、一部の関数など)のキーがない代わりに組み込み演算機能を呼び出す[Fx]キーがついています。

[Fx]キーを押したところ。

複素数演算機能を呼び出してみました。FX-860Pvcの組み込みプログラムにも同様のものがあるので呼び出してみましたが、操作方法は全く同じです。[BRK]キーを押すと"Break"と表示されますし、おそらくはFX-860Pvcと同様にBASICで書かれている可能性が高いと思われます。ただし、FX-860Pvcで利用できた隠し命令、MODE100 や GOTO"LIB:n"は試してみましたがエラーになってしまいました。

最後に、FX-840P/841P/860P/860Pvcの機能比較表を載せておきます。FX-860Pvcの紹介記事にも同様の表を載せましたが、今回は840Pのマニュアルを入手したため少し修正、追加してあります。
こうしてみると基本的にはFX-840Pにできて、FX-860Pvcにできないことというのはなさそうですね。ただ、統計機能に関してはFX-860PVcよりFX-841Pのほうが高機能なようです。こうなると次はFX-841Pが欲しくなってしまいますね。あまりオークションでも見かけませんが、ゆっくり探してみたいと思います。

今回手に入れたものは元箱、マニュアルつきでした。

マニュアルはこのようにFX-840P/841P/860Pで共通となっています。また、FX-840PはCASLを搭載していますので、CASLのマニュアルが別途付属しています。

FX-860Pvcと並べてみました。当然のことながらデザインはかなりよく似ています。FX-840Pで省略された機能(データバンク、数式記憶、組み込みプログラム、一部の関数など)のキーがない代わりに組み込み演算機能を呼び出す[Fx]キーがついています。

[Fx]キーを押したところ。

複素数演算機能を呼び出してみました。FX-860Pvcの組み込みプログラムにも同様のものがあるので呼び出してみましたが、操作方法は全く同じです。[BRK]キーを押すと"Break"と表示されますし、おそらくはFX-860Pvcと同様にBASICで書かれている可能性が高いと思われます。ただし、FX-860Pvcで利用できた隠し命令、MODE100 や GOTO"LIB:n"は試してみましたがエラーになってしまいました。

最後に、FX-840P/841P/860P/860Pvcの機能比較表を載せておきます。FX-860Pvcの紹介記事にも同様の表を載せましたが、今回は840Pのマニュアルを入手したため少し修正、追加してあります。
FX-840P | FX-841P | FX-860P | FX-860Pvc | |
CPU | HD62002 | HD62002 | HD62002 | HD62002 |
RAM | 8KB(Max 40KB) | 8KB(Max 40KB) | 32KB(Max 64KB) | 32KB(Max 64KB) |
階乗、順列・組み合わせ | × | ○ | ○ | ○ |
双曲線関数 | × | ○ | ○ | ○ |
極座標変換 | × | ○ | ○ | ○ |
PB-100互換BASIC | × | ○ | ○ | ○ |
CASL | ○ | × | × | ○ |
組み込みプログラム | 6(内、統計3) | 統計51 | 116(内、統計47) | 116(内、統計47) |
データバンク(メモ) | × | ○ | ○ | ○ |
数式記憶 | × | ○ | ○ | |
F.COM | × | × | × | ○ |
こうしてみると基本的にはFX-840Pにできて、FX-860Pvcにできないことというのはなさそうですね。ただ、統計機能に関してはFX-860PVcよりFX-841Pのほうが高機能なようです。こうなると次はFX-841Pが欲しくなってしまいますね。あまりオークションでも見かけませんが、ゆっくり探してみたいと思います。
CASIO PB-770
今日は久しぶりに古いポケコンを紹介します。本日紹介するCASIO PB-770は、以前紹介したPB-700のマイナーチェンジ版と言うべき機種で、キーボードからのカナ入力(PB-700ではCHR$関数による表示のみ可能)や[F]キーによる関数入力が可能になり、RAM容量が8KB(PB-700は4KB)に倍増しています。フルグラフィック表示が可能なLCDをはじめとするそのほかのスペックやデザイン、周辺機器(FA-10など)などはPB-700と共通となっています。

PB-700(下)と並べてみました。[カナ]キーと[F]キーを除くと基本的には同じ形状、デザインとなっています。色合いはPB-700がシルバー調だったのに対してPB-770は上側がベージュ、下側が薄いシルバーとなっており、どちらかというとPB-500に近い色合いとなっています。

裏面にはPB-700と同じ形状の増設RAMスロットが3つ付いていますが、使用可能なRAMモジュールはOR-8(8KB)となっており、これを3つ増設すると合計32KBと当時としてはかなり大容量なメモリを利用可能でした。ちなみにOR-4とOR-8は形状は似ていますが、それぞれPB-700, PB-770専用であり他の機種には利用できません。

このようにキーボードからの直接カナ入力が可能です。

内部を確認してみました。CPUはPB-700のHD61917(HD61913のマイナーチェンジ版でしょうか…?)と異なり、比較的新しい機種に採用されているHD61747が2個搭載されています。μPD1004GというものはCASIOのポケコンでよく利用されているHD61747/61913用の同期SRAMと思われます。PB-700ではHD61914という2KBのチップが4個搭載されていましたが、こちらのμPD1004Gはおそらく4KBのチップなのでしょう。ちなみに、PB-700の内部の写真がVintage programmable calculatorsに掲載されていますので比較していただくとお分かりかと思いますが、CPUやRAMチップの型番は異なりますが部品配置はそっくりで、同じ基板を使いまわしているのかと思うほどです。

LCD側の基板。LCDコントローラと思しき沖電気(現在はLSIの生産事業から手を引いてしまったようですが…)のチップが2つ載っています。これもPB-700とほぼ同じですね。

このPB-770はPB-700のマイナーチェンジとはいえ、メモリ容量が増大したことやカナ入力が可能となったことで、実用的なアプリケーションプログラムを作成することが可能でした。この機種に相当するFXシリーズは発売されませんでしたが、[F]キーを備えていたということはFXシリーズの上位機種としての役割も兼ねることを期待されていたのだと思います。PB-100から始まったHD61913/HD61747搭載ポケコンの集大成ともいえる機種であり、これ以降の上位機種はアーキテクチャが一新されたHD62002(FX-860P系)およびHD61700(PB-1000やFX-870P系)搭載機種に置き換えられていくことになります。

PB-700(下)と並べてみました。[カナ]キーと[F]キーを除くと基本的には同じ形状、デザインとなっています。色合いはPB-700がシルバー調だったのに対してPB-770は上側がベージュ、下側が薄いシルバーとなっており、どちらかというとPB-500に近い色合いとなっています。

裏面にはPB-700と同じ形状の増設RAMスロットが3つ付いていますが、使用可能なRAMモジュールはOR-8(8KB)となっており、これを3つ増設すると合計32KBと当時としてはかなり大容量なメモリを利用可能でした。ちなみにOR-4とOR-8は形状は似ていますが、それぞれPB-700, PB-770専用であり他の機種には利用できません。

このようにキーボードからの直接カナ入力が可能です。

内部を確認してみました。CPUはPB-700のHD61917(HD61913のマイナーチェンジ版でしょうか…?)と異なり、比較的新しい機種に採用されているHD61747が2個搭載されています。μPD1004GというものはCASIOのポケコンでよく利用されているHD61747/61913用の同期SRAMと思われます。PB-700ではHD61914という2KBのチップが4個搭載されていましたが、こちらのμPD1004Gはおそらく4KBのチップなのでしょう。ちなみに、PB-700の内部の写真がVintage programmable calculatorsに掲載されていますので比較していただくとお分かりかと思いますが、CPUやRAMチップの型番は異なりますが部品配置はそっくりで、同じ基板を使いまわしているのかと思うほどです。

LCD側の基板。LCDコントローラと思しき沖電気(現在はLSIの生産事業から手を引いてしまったようですが…)のチップが2つ載っています。これもPB-700とほぼ同じですね。

このPB-770はPB-700のマイナーチェンジとはいえ、メモリ容量が増大したことやカナ入力が可能となったことで、実用的なアプリケーションプログラムを作成することが可能でした。この機種に相当するFXシリーズは発売されませんでしたが、[F]キーを備えていたということはFXシリーズの上位機種としての役割も兼ねることを期待されていたのだと思います。PB-100から始まったHD61913/HD61747搭載ポケコンの集大成ともいえる機種であり、これ以降の上位機種はアーキテクチャが一新されたHD62002(FX-860P系)およびHD61700(PB-1000やFX-870P系)搭載機種に置き換えられていくことになります。
SHARP PC-1605K
SHARPポケコンシリーズも今回で一旦最終回となります。このところ実行専用機の紹介記事が続いていましたが、本日のお題も実行専用機、PC-1605Kです。この機種はSHARPの当時のポケコンの最上位機種PC-1600Kの実行専用バージョンとして発売されました。

大きさ、デザインともPC-1600K(下)と似ていますが、テンキーが一部のキーを省略するかわりに大型化していること、LCD下のファンクションキーが大きくなっていること、QWERTYキーの代わりに[S1]~[S10]までのキーが備わっているところが異なります。

PC-1605KはPC-1252HやPC-1270と基本的には似ており、電卓として使用できるキーに加えてプログラムで使用できるキーが少数備わっているというデザインは共通です。しかし、PC-1605Kは他の実行専用機とは異なり、内部のソフトウェアは汎用機であるPC-1600Kほぼと同じと考えられます。例えば電卓として使用する場合、他の実行専用機では全く普通の電卓と同じように使用できますが、このPC-1605KではポケコンのRUNモードを操作しているような感じです。実際に"RUN"インジケータが点灯していますしね。

しかもこのPC-1605K、乗除算キーがないので加減算しかできません。電卓としての機能は完全にオマケという雰囲気ですね。ちなみにPC-1600Kは「ポータブルコンピュータ」ですが、PC-1605Kは「ポケットコンピュータ」のようです。

プログラム用のキーもPC-1252H/1270とは機能が異なります。他の機種では[DEF]+アルファベットキー の働きをするキーでプログラムを呼び出していましたが、PC-1605Kの[S1]~[S10]キーは単なるアルファベットキーとしての役割しかなく、押すとこのようにA, S, D, F, G, Z, X, C, V, Bの文字が入力されます([シフト]を押すと小文字になります)。プログラムの実行はおそらくARUN命令を用いるか、ファンクションキー([F1]~[F6])に実行命令を定義して行うことになるのだと思われます。ちなみにファンクションキーの切り替え(I/II/III)キーはなく、常に"I"の定義で利用することになるのでしょうか。

PC-1605Kには他の機種にあった[IN][OUT]のボタンもなく、プログラムを読み込む方法は不明です。PC-1600Kを用いてプログラムモジュール(CE-1600Mなど)にプログラムを書きこんで使用するのが標準的な方法だったのかもしれませんね
。このようにPC-1605Kはこれまで紹介した実行専用機とはちょっと毛色が違いますが、こういう設計になった理由としては、(1)PC-1600K用のプログラムを全く修正せずにそのまま使用できる、(2)大型であることもあり電卓としての機能はさほど重要視されない、などが考えられると思います。ファンクションキーでプログラムを実行開始するという設計は、後のPC-Vシリーズの実行専用ポケコンにも受け継がれていくことになります。

大きさ、デザインともPC-1600K(下)と似ていますが、テンキーが一部のキーを省略するかわりに大型化していること、LCD下のファンクションキーが大きくなっていること、QWERTYキーの代わりに[S1]~[S10]までのキーが備わっているところが異なります。

PC-1605KはPC-1252HやPC-1270と基本的には似ており、電卓として使用できるキーに加えてプログラムで使用できるキーが少数備わっているというデザインは共通です。しかし、PC-1605Kは他の実行専用機とは異なり、内部のソフトウェアは汎用機であるPC-1600Kほぼと同じと考えられます。例えば電卓として使用する場合、他の実行専用機では全く普通の電卓と同じように使用できますが、このPC-1605KではポケコンのRUNモードを操作しているような感じです。実際に"RUN"インジケータが点灯していますしね。

しかもこのPC-1605K、乗除算キーがないので加減算しかできません。電卓としての機能は完全にオマケという雰囲気ですね。ちなみにPC-1600Kは「ポータブルコンピュータ」ですが、PC-1605Kは「ポケットコンピュータ」のようです。

プログラム用のキーもPC-1252H/1270とは機能が異なります。他の機種では[DEF]+アルファベットキー の働きをするキーでプログラムを呼び出していましたが、PC-1605Kの[S1]~[S10]キーは単なるアルファベットキーとしての役割しかなく、押すとこのようにA, S, D, F, G, Z, X, C, V, Bの文字が入力されます([シフト]を押すと小文字になります)。プログラムの実行はおそらくARUN命令を用いるか、ファンクションキー([F1]~[F6])に実行命令を定義して行うことになるのだと思われます。ちなみにファンクションキーの切り替え(I/II/III)キーはなく、常に"I"の定義で利用することになるのでしょうか。

PC-1605Kには他の機種にあった[IN][OUT]のボタンもなく、プログラムを読み込む方法は不明です。PC-1600Kを用いてプログラムモジュール(CE-1600Mなど)にプログラムを書きこんで使用するのが標準的な方法だったのかもしれませんね
。このようにPC-1605Kはこれまで紹介した実行専用機とはちょっと毛色が違いますが、こういう設計になった理由としては、(1)PC-1600K用のプログラムを全く修正せずにそのまま使用できる、(2)大型であることもあり電卓としての機能はさほど重要視されない、などが考えられると思います。ファンクションキーでプログラムを実行開始するという設計は、後のPC-Vシリーズの実行専用ポケコンにも受け継がれていくことになります。