CASIO fx-4600DC

以前、CASIOの高機能プログラム関数電卓fx-4500Pを紹介しましたが、この機種にもデザインの似た機種がいくつかあります。本日から紹介していくのは、そんなfx-4500Pの兄弟たちで、下の画像で紹介している2機種(左から順に、fx-4500P, fx-4600DC, fx-5500LA)になります。
fx-4500P & fx-4600DC & fx-5500LA

これらの機種はすべて2段表示のLCDを搭載していますが、その内容はそれぞれ異なります。fx-4500Pは上段が12桁のドットマトリクス、下段が仮数10桁+指数2桁の7セグメント表示となっています。
fx-4500PのLCD

fx-4600DCは上段が12桁のドットマトリクス、下段が仮数12桁+指数2桁の7セグメント表示となっています。とはいっても有効数字12桁の演算結果表示を行ってくれるわけではなく、後述する電話帳機能で利用するためです。
fx-4600DCのLCD

fx-5500LA
では上段、下段とも16桁のドットマトリクス表示となっています。
fx-5500LAのLCD

これらLCD以外のデザイン(キーの配列など)はかなり似ている兄弟たちですが、本日はこの中からfx-4600DCについて紹介したいと思います。fx-4600DC電話帳機能搭載の変わり種ですが、関数計算機能はfx-4500Pとほぼ同じでごく一部の機能(数値積分、Int、Frac、Abs)のみが省略されています。メモリもA~Zが利用できる点では共通ですが、配列やDefmは利用できません。
fx-4600DC

fx-4600DCには127ステップの数式記憶機能が搭載されており、いちおう「プログラム関数電卓」と言ってもよいと思われます(SHARPなどは同程度のフォーミュラメモリー搭載機を「プログラマブル関数電卓」と称しています)。その点ではfx-4100Pに近い印象を受けますが、数式記憶機能の文法自体はむしろfx-4500Pに似ており、◢(右下に角のある直角三角形)で一時停止、初出の変数名の後ろに""で括ったメッセージを置くことでプロンプトを表示可能など、fx-4100Pにはない機能が利用可能です。
入力メッセージ

そして、この機種の最大の特徴である電話帳機能です。マニュアルがないのですべての機能を解説することはできませんが、操作してみて分かった範囲で書いてみたいと思います。電話帳閲覧モードに入るには[TEL]キー(電話マークのキー)を押します。この状態でカーソル[↓][↑]キーで順送り、逆送りが可能です。このようにハイフンも入力・表示可能ですが、表示が12桁を超える場合は右端に"→"マークが点灯します。この場合はカーソル[→][←]キーでスクロールが可能です。また、閲覧モード時にはアルファベットキーを押して名前の先頭数文字を入力し[TEL]キーを押すと、前方一致での検索も可能となっています。
電話帳参照

データの入力・編集モードに入るには[N/SET]キーを押します。"SET"表示が点灯し、入力・編集が可能な状態となったことを示します。
電話帳新規入力

この状態で名前を入力して[EXE]、電話番号を入力して[EXE]と操作することで新規登録が可能です。
電話番号入力中

また、名前の入力待ちの状態("NAME?"表示中) に[↓][↑]キーで表示の順送り、逆送りができ、目的のデータを呼び出した状態で[→]キーを押すことで編集モードに入ることができます。
電話帳編集

ちなみにレコードを削除するには、編集モードに入って名前を[DEL]ですべて消去して[EXE]を押します。
名前を消去

"DATA CLEAR?"の確認表示で再度[EXE]でレコードが削除されます。
削除確認

入力できる名前、電話番号の桁数はよくわかりませんが、容量は1100バイトあるようです。[SHIFT][CAPA]キーを押すことで使用中の容量と、残り容量を確認することができます(ちなみにfx-4500PでのCAPA命令は、プログラムエリアの空き容量を確認する命令でした)。fx-4500Pでのプログラムエリアの容量が1103ステップであったことを考えると、搭載しているRAMの容量自体は同じと考えてよさそうですね。ちなみにデータの全削除が可能なのかどうかについては不明です。オールリセットするしかないのかもしれません。
空き容量確認

電話帳機能にはいちおうシークレット機能も付いているようです。シークレットデータを入力するには、まず[N/SET]で入力モードに入り、[SHIFT][N/SET]と操作するとパスワード入力画面が表示されます。一度もパスワードを入力したことがない状態であれば、ここで入力したパスワードが登録され、すでにパスワードを入力したことがあればここで同じパスワードを入力します。(ちなみにパスワードのリセット、変更方法についてはわかりませんでした。シークレットデータをすべて削除しても保持されているようです。オールリセットすればクリアされるとは思いますが…。)
パスワード入力

正しいパスワードを入力して再度[SHIFT][N/SET]を押すとシークレットデータの入力・編集画面になります("SET"表示の横に鍵のマークが点灯します)。この状態で入力したデータはすべてシークレットデータとして登録されます。ちなみにすでに登録されたデータをシークレットデータに変更することができるのかどうかは不明です。シークレットデータを閲覧するには"SET"が点灯してない状態で[SHIFT][N/SET]を押し、パスワードを入力して[SHIFT][N/SET]を押します。この操作によりシークレットデータ閲覧モードになり、シークレットデータのみが表示されます。

…と駆け足で解説してみましたが、こんな感じで電話帳機能を利用可能です。最後に内部も調べてみました。電池はメイン、バックアップともCR2032を1個ずつ使用するようになっています。
電池ボックス

基板上には東芝のT6A56Hというチップが載っており、パターンもfx-4500Pとは全く異なっています。T6A56Hという型番は何となくゲートアレイっぽい印象も受けますが、検索してみてもよくわかりませんでした。機能やメモリ容量などはfx-4500Pと似ているので当然中身も似ているのかと思っていたので、意外な結果でした。
内部基板

参考までに、こちらがfx-4500Pの内部です。
内部

この機種が発売されたのは1991年ですからまさに電子手帳などがブームとなっていた時代ですね。CASIOはこの機種より少し前にfx-4200Pという機種も出していますが、これはfx-4100Pにメモ機能をつけたもののようです。関数電卓を肌身離さず持ち歩く人がどの程度いたのかは不明ですが(私などは学生時代FX-601Pを持ち歩いていましたが…汗)、時代を感じてしまう興味深い機種だと思います。次回はfx-5500LAを紹介したいと思います。
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CASIO fx-300P

本日からまた少しCASIOのプログラム関数電卓を紹介していきたいと思います。本日紹介するfx-300Pは、学校教育用電卓として1980年ごろに発売されたと考えられています。機能的には同時期発売のfx-2700P、fx-3500Pに近く、デザインも似ていますが、双曲線関数の機能が省略されています。
fx-300P

fx-2700P(右)と並べてみました。双曲線関数の[hyp]キーがなくなったため、[MODE]キーが移動しています。それ以外のデザインはおおむね同じです(fx-300Pは10桁、fx-2700Pは8桁のため、LCDの幅は異なっています。)
fx-300P & fx-2700P

では、これらの兄弟機種と思われる3機種のスペックを比較してみましょう。参考までにfx-3500Pの後継機であるfx-3600Pも載せています。上位機種であるfx-3500P/3600Pのみ三乗根キーがなかったりしますが、これは[P1/P2]キーを増やしたため場所が足りなくなったものと思われます。下記の違いに注意すればfx-3600Pのマニュアル(こちらで英語版を参照できます)を参考にできると思います。
fx-300Pfx-3500Pfx-2700Pfx-3600P
表示桁数1010810
プログラムステップ38383838
プログラムエリア1212
双曲線関数×
三乗根××
数値積分××

プログラム言語はfx-3600P/3600Pv/360MTのものと同じであり、ジャンプ命令はプログラム先頭に戻る[RTN]命令、条件判断命令も条件が真の場合にプログラム先頭に戻る[x>0], [x≦M]命令を備えています。恒例のベンチマークも行ってみました。プログラムはfx-360MTと同じもの(整数はこちら、三角関数はこちら)を利用します。比較のため、fx-2700Pも同じプログラムで行ってみました。参考までにfx-3600Pの結果も載せておきます。(tan(355/226)の正解は -7497258.1853255…) 3機種ともほぼ同じような性能なのがわかりますね。
fx-300Pfx-2700Pfx-3600P
1~1000の和3分5秒3分8秒3分1秒
sin(1)~sin(100)の和53.7秒54.6秒52.7秒
sin(1)を10回加算4.4秒4.4秒4.4秒
69!1.1秒1.1秒1.1秒
tan(355/226)の値-7501875.46-7501875.5-7501875.46

内部も調べてみました。基板のパターンや部品配置もfx-2700Pと似ており、CPUも同じHD43148が使用されています。性能・機能が似通っているのも当然ですね。
fx-300P 内部

このfx-300Pには、fx-310P, fx-330Pという同シリーズの後継機(あるいは兄弟機?)があるようですが、300Pとの違いについてはよくわかりません。また、fx-300Pの前にはfx-180Pという学校教育用電卓があったようですが、180Pには少しずつ型番の違う後継機が何種類かあり、かなりの期間販売されていたようです。これらの学校教育用電卓については資料が少なく、たとえば300P系列の機種と180P系列の機種が併売されていた期間があったのか、そうだとしたらどのように使い分けられていたのかなど、不明な点が多いです。どなたか詳しい方がおられれば教えていただければありがたいです。

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N-08BとBluetooth通話機器との相性

少し前に、BluetoothハンドセットCDS 5Sdocomoのキーボード付きケータイN-08B相性が悪いということを書きました。いっぽう、N-08B友和商会BluetoothハンドセットBE-03Jとの組み合わせでは問題なく使用できています。そこで今回は、この2機種にPlantronics M70を加えた3機種について、N-08Bと接続時の通話機能、音楽再生機能について検証してみることにしました。
M70 & BE03J & CDS 5S

1. CDS 5S
以前にも書いたように、HFP接続時には発着信/通話は可能ですが、終話操作がうまくいきません。A2DP/AVRCP接続時大きな問題はなく、N-08B側でミュージックプレーヤを起動し再生可能な状態にしておくと、CDS 5S側のスピーカーから音楽が再生され"BT Music"の画面から再生操作が可能でした。(以下の2機種で利用できたミュージックプレーヤーの自動起動は利用できませんでした。ミュージックプレーヤーが起動されていないと、CDS 5SのBT music側は"Not connected"となってしまいます。)
N-08B & CDS 5S

2. Plantronics M70

こちらはHFP接続時の着信、終話とも全く問題なく、メインスイッチの2度押しによるリダイヤル操作も可能でした。N-08B側でミュージックプレーヤーで再生中のアルバムが選択されている状態にし、Bluetooth設定のミュージックプレーヤー設定を「自動起動/終了あり」にしておくと、M70を接続すると自動的にミュージックプレーヤーが起動し、M70のボタン操作のみで音楽の再生操作ができるようになります。このあたりはAndroidよりもむしろ操作性がよいところですね。
N-08B & Plantronics M70

3. BE03J
HFP接続時の通話機能については、以前の記事でも書いた通り全く問題ありません。ただN-08BはPBAPに対応していないため、電話帳転送や通話履歴といった機能は利用できません。A2DP接続時はM70と同様、ミュージックプレーヤーの自動起動が利用でき、再生操作(一時停止、順送り、逆送り)も問題なく可能でした。
N-08B & BE03J

こうしてみてみると、N-08B用のハンドセット/ハンズフリーユニットとしてはやはりM70かBE03Jを利用するのがよさそうです。CDS 5Sを利用できれば面白かっただけにちょっと残念ですが、こちらはN-08Bと同じくデカすぎて通話のしにくいSony Z Ultra GPe用にしようと思います。N-08Bは機種として古いとうい点、CDS 5Sは大手メーカー製でないという点でどこか微妙に合わないところが出てきてしまったのでしょうか…。

※本サイトで紹介する内容は、すべて個人的研究の範囲内で行っていることです。ここに書かれた内容を実行したことによる、データ(クラウド上を含む)・ソフトウェア・ハードウェアの障害および金銭的損害について、私が責任を負うことはできません。重要なデータはあらかじめバックアップを行い、内容を十分に理解したうえで、ご自身の責任の下で行ってください。
※また、ここで紹介している一部の機種には技適マークがついていません。このブログの目的はあくまでも研究であり、技適マークのない端末の利用をお勧めするものではありません。

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fx-201Pでのプログラミング (2)

前回はfx-201Pでのプログラミングの基本を書いてみましたが、今回はジャンプ、サブルーチン、条件判断について書きたいと思います。

fx-201Pにおけるジャンプ命令は、[GOTO]を用い、ジャンプ先のラベルを指定するのに[ST#]を用います。ラベルは0~9の数値を利用可能です。また、[GOTO]のジャンプ先のラベルが[SUB#]になっている場合にはサブルーチン呼出として処理されます。それぞれの書式は下記の通りです。
 [GOTO] ラベル [:]
 [ST#] ラベル [:]
 [SUB#] ラベル [:]

なお、サブルーチンから戻る命令は用意されておらず、プログラムの最後に達したら戻るようになっています。実際には下記のような書き方をすると、GOTO 1:, GOTO 2:, GOTO 3:はサブルーチン呼出として処理されると思われます。ちなみにサブルーチンのネスティングはできません。

    ……
 <メインルーチン>
    ……
 GOTO 9:
SUB# 1:
    ……
    ……
 GOTO 9:
SUB# 2:
    ……
    ……
 GOTO 9:
SUB# 3:
    ……
    ……
ST #9:
 <プログラム末尾>

ジャンプ命令には[GOTO]のほかに[MJ]という命令があります。これは「マニュアルジャンプ」というもので、この命令を書いておくと、入力待ち([ENT])や結果表示([ANS])中に[MJ]キーを押すことによりその位置にジャンプすることができるというものです。[ST#]~[GOTO]のループで入力と計算を繰り返し、[MJ]キーを押すと最終結果が表示される、というような用途に利用できます。なお、この[MJ]コマンドについては後ろの[:]は不要です。

次は条件判断です。条件判断には[IF]命令を使用しますが、書式は以下のとおりとなります。
 [IF] x [=] y [:] l1 [:] l2 [:] l3 [:]
xとyには0~9のメモリ番号、I, IMのいずれか、またはKに続く定数を指定できます。l1, l2, l3はラベルを示し、この場合の動作としてはx<yならl1, x=yならl2, x>yならl3にそれぞれジャンプするということになります。

fx-201Pのプログラム命令は以上ですべてになります。最低限のものは揃ってはいますが、かなり貧弱なのはお分かりいただけるかと思います。簡単なことをするのにもステップ数が多くなってしまいがちで、127ステップの容量はすぐに使いきってしまいそうですね。最後にこれまで利用してきたベンチマーク(1~1000までの和、sin(1)~sin(100)までの和)のプログラムを作ってみることにします。まずはこちら、1~1000までの和を計算するプログラムです。

0 = K1000 :
1 = K0 :
ST# 0 :
1 = 1 + 0 :
0 = 0 - K1 :
IF 0 = K0 : 1 : 1 : 0 :
ST# 1 :
ANS 1 :

結果は7分1秒で、これまで計測可能であった電卓の中では最も遅い結果でした。自分のPC-1212では未検証ですが、up-cさんのところで最も遅い部類のPC-1210/1211よりも遅いということになります。
ベンチマーク(1)

次に、sin(1)~sin(100)までの和も計算してみました。これまでの機種はRADモードを利用してきたのですが、この機種ではsin(100)がエラーになってしまうためDEGモードを利用しました。プログラムは下記の通りとなります。

0 = K100 :
1 = K0 :
ST# 0 :
1 = 1 + 0 sin :
0 = 0 - K1 :
IF 0 = K0 :1 : 1 : 0 :
ST# 1 :
ANS 1 :

結果は3分8秒でした。これも計測可能な機種の中では最も遅い結果でした。そういえば古いプログラム関数電卓ということだとPC-1200が未計測でしたので、また近々やってみたいと思います。最後はループを用いずにsin(1)を10回計算して加算するプログラムです。(最初このプログラムがどうしても動作せず、なぜかと思ったら定数を表す"K"がすべて抜けていました…汗)

0 = K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin + K1 sin :
ANS 0 :

結果は15.9秒で、なんとPC-1001より遅い!! このままではウチの電卓の中では最も遅い電卓ということになってしまいそうです。ちなみにfx-201Pは階乗計算機能はついていないので、そちらで比較することはできませんでした。最後にtan(355/226)の精度も計算してみました。
ベンチマーク(2)

結果は上の通りで、fx-140fx-2500などに比べると良好な結果で、HP-15CHP-41Cに近い精度でした(正しい結果は-7497258.1853255… です)。

以上で、合計3回にわたってfx-201Pについて紹介してきましたが、かなりクセがあるプログラム関数電卓であるということはお分かりいただけたかと思います。同時期のプログラム関数電卓であるPC-1200(1977年発売)、HP-41C(1979年発売)と比べるとかなり使いにくいと思いました。やはりCASIOのプログラム関数電卓で他のメーカーと渡り合えるものは、1978年のFX-501P/502P発売まで待たなければいけなかったようです(このfx-201Pは1976年発売です)。そのFX-501P/502Pが打って変わってかなり魅力的な機種に仕上がったのは皆様ご存知の通りですが…。

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tag : プログラム関数電卓CASIOfx-201P

fx-201Pでのプログラミング (1)

少し前に紹介したCASIO初の本格的プログラム関数電卓fx-201Pですが、本日はそのちょっと変わったプログラム言語について紹介したいと思います。

fx-201のプログラムを入力するには、モード切替スイッチを"WRITE"に切り替えますが、WRITEモードで[AC]キーを押すとそれまで入力されていたプログラムは消去されますので注意が必要です。表示が"0."の状態でキー入力を行うと、プログラムとして記録されていきますが、プログラム入力中の画面は下記のような感じで左端の3桁が最後に入力したキーのステップ数(右端に表示されている"Γ6"が11ステップ目という意味です)を示し、その右側には3ステップ分のプログラムが表示されています。
プログラム入力画面

プログラムの確認・編集は、WRITEモードでプログラムの新規入力中か"0."表示の状態で[CHECK]キーを押すと可能になります。この表示を"0."に戻す方法ですが英語版のマニュアルを読んでもよくわからず、モードスイッチを"COMP"にして[AC]を押し、再び"WRITE"に切り替えなおす方法しか見つけられませんでした(WRITEモードでは[AC]キーはプログラムのクリア、[C]キーは現在表示中の命令の消去になってしまいます)。ちなみに[CHECK]キーはFX-50xP/60xPなどの[FST]キーと同様の動作をしますが、[BST]に相当する逆送りキーは備わっていないようです。[CHECK]でプログラムを表示している状態で何かキーを押すと次の命令が新しく入力した命令で上書きされます(FX-50xP/60xPなどでは挿入になりますが、201Pでは上書きです)。また[C]を押すと表示中の命令が消去され"00"(FX-50xP/603PなどのNOP命令と同じでしょうか)に置き換わります。つまり、挿入や削除は一切できず、NOP命令を含めた他の命令で上書きするという形でしか編集はできません。下記に実際の操作例を示します。わかりやすいように[1][2][3][4][5][6][7][8][9]というプログラムを入力後、編集を行っている様子です。
編集前

[CHECK]で3ステップ目の"3"を呼び出したところ。
3ステップ目呼出

[C]キーを押すと"3"が"00"に置き換わるとともにステップが一つ前に戻ります。
3ステップ目消去

再度[CHECK]キーを押して進めると、このように"3"が"00"に置き換わっているのが確認できます。
消去された様子

2つ上の画像のように2ステップ目に戻ったところで"9"を押すと、このように3ステップ目の"00"が"9"で上書きされます。
9で上書き

ステップを進めたところ。"3"が"9"に置き換わっており、その次の"4"以降は変化していません。
上書きの状態を確認

とまあ、こんな感じでかなり操作性は悪いです。では、実際のプログラムの基本構成を見てみることにしましょう。fx-201Pのプログラムは、データを入力するENTメッセージ→実際の演算を行う計算式→結果を表示するANSメッセージ、という構造が基本となっています。また、メモリはMANUALモードで利用できる独立メモリ(M)は使用できず、プログラム専用のメモリ0~9と、間接指定用レジスタI、Iによって指定されたメモリIMの12個が利用できます(Iには一桁の整数0~9のみ代入できます)。間接指定の考え方ですが、例えばI=3であれば、IMはメモリ3を指定したのと同じことになります。また、ひとつ独特な点として、計算式のなかでそのまま0~9と表記するとそれはメモリ0~9を指定したことになってしまい、定数値を指定したい場合は[K]に続けて書く必要がありますので注意が必要です。次に、各メッセージの書式を列挙していきます。

1. ENTメッセージ
メモリへの数値入力を求めるENTメッセージは次のように記述します。
 [ENT] メモリ番号 [:]
メモリ番号は[:]で区切って複数記述すること可能で、たとえばメモリ1,2,3への数値入力を求める場合は次のようになります。
 [ENT] 1 [:] 2 [:] 3 [:]
同じプログラムは、FX-50xP/60xPでは次のようになります。fx-201Pのほうが融通がきかないぶんシンプルになっていますね。(FX-50xP/60xPの[HLT]は単に実行を一時停止するだけの命令ですので、後にはメモリ代入の[Min]命令以外の命令も使用できます)
 [HLT] [Min] 1 [HLT] [Min] 2 [HLT] [Min] 3
上記の命令を実際に実行すると下記のような画面になります。左端に"1"と表示され"ENT"インジケータが点灯していますが、これはメモリ1への数値入力を待っているという意味です。ここで数値を入力して[ENT]キーを押すと、入力した値がメモリ1に代入されます。
入力待ち

2. 計算式
基本的な書式は下記のとおりとなります。
 メモリ番号 [=] 計算式 [:]
上記の書式を、必要な数だけ記述できます。計算式の書き方は通常の演算とほぼ同じですが、上でも書いた通り単なる数値はメモリ番号として認識され、定数値は[K]に続けて書きます。例えば、メモリ0に半径を入力して円の面積を計算し、メモリ1に結果を代入する場合は下記のようになります。(ちなみに[π]キーはWRITEモードでは定数に前置する[K]キーとして働くため、円周率を計算式中で使用するには手入力するしかなさそうです。)
 1 [=] 0 [×] 0 [×] [K] 3.14 [:]
ちなみに同じプログラムは、FX-502P/602Pなどでは次のようになります。fx-201Pのものはこれに比べるとかなりわかりにくいですね。
 [MR] 0 [x2] [×] [π] [=] [Min] 1

3. ANSメッセージ
結果を表示するANSメッセージは次のように記述します。
 [ANS] メモリ番号 [:]
これもENTメッセージと同様、メモリ番号を[:]で区切って複数指定できます。

以上で簡単なプログラムを作成することは可能になります。例えば、ピタゴラスの定理のサンプルプログラム(昔電器店に展示してあったPC-1211の横に置いてあった説明書にピタゴラスの定理のプログラム例が書いてあったのが印象に残っており、ついつい使ってしまいます)はこんな感じです。乗除優先や()がないので書きにくいですね。これだけで31ステップも使ってしまいます。

 ENT 0 : 1 :
 2 = 0 × 0 :
 3 = 1 × 1 :
 4 = 2 + 3 :
 4 = 4 √ :
 ANS 4 :

実行するにはモードスイッチを"COMPに切り替えて[START]を押します。実際に実行し、0に3, 1に4を入力した場合の答え。左端に"4"と表示され"ANS"インジケータが点灯していますが、これはメモリ4の内容が表示されていることを示しています。この状態で[ANS]キーを押すと、表示を終了(メモリ番号を複数指定している場合は次の結果を表示)して次のプログラムステップへ進みます。
結果表示

次回は条件判断やジャンプ、サブルーチンについて書いてみたいと思います。またそれを利用して他の電卓で行ったようなベンチマークテストも行う予定です。

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関西旅行記 (2)

本日は関西旅行記2日目です。この日は家族とは別行動だったので、久しぶりに日本橋の電気街へ行ってきました。日本橋に初めて行ったのは私が中学生の時でしたが、当時電子工作に興味を持ち始めたばかりの私を父親が連れていってくれました。その当時の日本橋はパーツショップがたくさんあり、大手のニノミヤやジョーシンにもパーツコーナーがあったぐらいです。いまではすっかり数が減ってしまい、一般消費者向けのパーツショップで続いているのは共立電子(デジットとシリコンハウス)ぐらいで、あとは最近になって東京などから進出してきたマルツと千石電商でしょうか。画像はシリコンハウス共立です。
シリコンハウス共立

減ってしまったパーツショップの代わりに増えているのはやはりアニメ系の店でしょう。画像が通称「オタロード」、日本橋で最も人通りの多い場所のひとつです。アニメイトが入っているビルはもともとは今はなきニノミヤの大型店舗でした。最近まで1階はパソコンショップのFaithでしたが、近くのTWOTOPと統合されてしまいました。
オタロード

オタロードの入り口近くにあるこのビルはもともとは関西初進出のT-ZONE、そのあとしばらくはパソコン工房だったように思います。パーツショップが減り、そのあとに増えたパソコンショップも減り、このあたりは時代を感じますね…。
K-BOOKS

活気のある通りから少し奥に入るとこんな古くから変わらない風景もあります。「五階百貨店」は名前ぐらいは聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか? 何が売っているのかというと、プロ向きも含めた工具などが色々と売られています。
五階百貨店

昼食は昔から行きつけのカツ丼専門店「こけし」に入りました。ここももとは右側の広いスペースで営業していた(つい1~2年前まではそうだったと思います)のですが、最近はお客さんが減ったのか左側の狭いほうのスペースに移っていました。当時は気軽に入れる飲食店も少なかったのですが、近頃はラーメン屋などもたくさんできてお客さんが分散した結果でしょうか。それでも人気は上々のようで、お昼時には結構混みあっていました。
こけし

今回はあまりお目当てのものもなくほとんど買い物はしませんでした。PSoCの参考書を買ったぐらいですね。AVRも手を出しかけてまだ使いこなせていないのに、面白そうだったのでついつい…(汗)。PSoCはアナログ回路やカウンタなど豊富な機能を内蔵しているので、温度計つきのデジタル時計なんかも作ってみたいですね。
PSoCに目覚める本

これで今回の短い関西旅行記は終了です。次回はまたfx-201Pの記事の続きを書こうと思います。

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関西旅行記 (1)

fx-201Pの記事の続きを書く予定でしたが、この3連休のうち2日間を利用して関西に行ってきましたので、少し旅行記を書いておきたいと思います。本日はまず1日目の日記です。今、NHKの大河ドラマで「黒田官兵衛」をやっていますが、家族がそれをみてハマってしまっているので、滋賀長浜市で行われている「黒田官兵衛博覧会」へ行きました。この博覧会の会場は2か所に分かれており、まず訪れたのが長浜城歴史博物館です。この城は大阪城などと同様に再建されたものですが、内部が博物館になっており、豊臣秀吉(長浜城は秀吉が初めて大名となったときに城主となった城です)についての展示が中心なのですが、秀吉の軍師であった官兵衛についての展示も行われていました。長浜城の周囲一帯は公園として整備されており、「豊公園」と名付けられています。
豊公園

こちらが長浜城天守閣。この内部が博物館となっています。
長浜城

天守閣からの眺め。
天守閣からの眺め

公園を出てランチにしました。公園近くで「Mamma」というイタリアンのお店を見つけたので入ってみました。
イタリアンレストランMamma

ランチセット(パスタまたはピザ1品と、サラダまたはスープ、ドリンクバーと小さなケーキが3つ(好きなものが選べます)ついて1650円)がお得そうなので頼んでみました。量はさほど多くはありませんでしたが、おいしかったです。
Mammaで食事中

長浜城の次は、長浜市北部の木之本にある「戦国大河きのもと館」へ行きました。こちらは「大河ドラマ館」ということで、ドラマ関連の展示が中心でしたが、賤ケ岳の戦いのジオラマがあったりなど史実に基づいた展示もなされていました。
戦国大河きのもと館

出口にこんなものがありました。モニターの前に立つと、兜が自動的に顔の部分に合成されて記念写真を撮ることができます。
合成写真

長浜での観光のついでに彦根の佐和山城跡にも立ち寄ってみました。こちらはちょっとしたハイキングコースとなっており、今回は歩きやすい靴を履いていたわけではないので諦めて記念撮影のみとしました。
佐和山城あと

夜は宝塚の知人の家で夕食をごちそうになり、家族はこのまま知人宅に泊まりましたが、私は大阪で宿泊することにしました。あいにく3連休の初日ということで、宿泊施設はどこもいっぱい…(一泊5万円以上出せばあるにはあるのですが…)。仕方がないので何とか見つけたカプセルホテルに泊まることにしました。
カプセルホテル「シャン」

カプセルホテルなんで初めてだったので、何かと新鮮でした。システムとしては日帰り入浴施設に宿泊用カプセルがついたといった感じで、チェックインするとまずロッカールームに案内され、そこでガウンに着替えます。カプセルはとても狭いので、基本的に荷物もロッカーに入れることになります。チェックイン後は入浴したり、カプセルで休んだり、休憩室でくつろいだりなど自由にできます。こちらがカプセルの並んでいる宿泊室。
宿泊室

カプセル内部。照明とラジオ、テレビのみ備わっており、携帯の充電すらできません。私はその可能性も見越してREX-WIFIUSB2を持ってきていたので、それで充電しました。有料の携帯充電器は供えられているので、それを利用するか、私のようにモバイルバッテリーを持参したほうがよさそうです。
カプセル内部

狭いカプセルではありましたが、意外と寝心地は悪くなかったです。ただ、密閉されているわけではないので周囲の方のいびきなどが少し聞こえることはありました。私は疲れていた&酔っぱらっていたためぐっすり眠れましたが、気になる人は気になるかもしれませんね。結論としては、価格が安いことも考慮すると、ほかに手ごろな宿泊施設がない場合などは選択肢の一つとして考慮に値すると思いました。以上、カプセルホテルの初体験記でした。次回の記事は2日目、大阪散策記を書こうと思います。

左側が私の持って行ったもの。最近は右のような大容量バッテリも手ごろな価格になりました。

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CASIOの古いプログラム関数電卓 fx-201P

本日はCASIOのとても古いプログラム関数電卓fx-201Pを紹介します。この電卓の発売は1976年とされていますので、SHARP初の本格的プログラム電卓PC-1200より少し前ということになります。プログラムステップは127ステップ、プログラム中で使用できるメモリ(変数)は10個となっており、条件判断やサブルーチン、間接指定など、プログラム言語として必要な要素は一通りそろっています。しかし、メモリのバッテリバックアップができないという弱点を抱えていたため、苦労して入力したプログラムも電源を切ればそれっきりになってしまいます。ライバルであるPC-1200がバッテリバックアップ機能を備えていたので対抗したのか、ほぼ同じ仕様の後継機種fx-202Pではバックアップができるようになりました。
fx-201P

キーボードにΓ1とかE3とかの印字があります。これはなんだと思いますか…?
キーのアップ

実は、プログラム内容を確認する際に表示される記号を示しています。FX-502Pなどでは同様の記号の一覧が別に添付されていましたが、fx-201Pではこのようにキーの下に印字してあるのでわかりやすいです。
プログラム確認時の表示

この電卓、コーヒーか何か飲み物をこぼされたのか、キーが汚れて押しにくい(押し込んでしまうと戻りにくい)状態となっていましたので、清掃のため内部を開けてみることにしました。まず本体裏側左下になにかふたのようなものがあるので開けてみると、テスト用なのか拡張用なのかよくわからない謎の端子が出てきました。
裏側

裏蓋を完全に開けたところ。近頃の電卓などとは異なりかなり集積度が低く、手作り感が漂っていますね。
内部

メインのチップたち。HD36136というものが1つ(CPUでしょうか?)、HD36106というものが2つ(メモリでしょうか?)使われています。
メイン基板のアップ

キーボードの裏側。ゴムではなく金属製のスプリングが使われています。キーそのものも今どきの電卓のような印刷ではなく、金太郎飴のような構造に成型されており、使いこんでも文字が消えることはありません。やはり昔の製品はお金がかかっていますね。
キーの裏側

実はこの電卓のプログラム言語はかなり変わっています。SHARPやCASIO, HPなどのほかの電卓とは似ても似つかない、ちょっとわかりにくい仕様となっています。たとえば、プログラム中に定数を書くのに"K"に続けて書かなければいけない(数値だけを書くと変数を指定したことになってしまう)、ジャンプもサブルーチンも同じGOTO命令を使い、サブルーチンなのかどうかはラベルを置く命令(ST# か SUB# か)によって判断している、などの点があげられます。ちょっとややこしいので次回以降の記事で少しそのあたりの解説をしてみたいと思います(英語版のマニュアルをこちらにアップしておきます)。

こちらは今どきのプログラム関数電卓です。

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BluetoothハンドセットCDS 5Sを買ってみました (3)

これまでCDS 5Sの様々な機能を試してきましたが、最後に各スマートフォンでの通話機能に問題がないかどうか確認することにします。用意したのはAndroid (Xperia feat. HATSUNE MIKU/Sony Z Ultra Google Play Edition)、Windows Phone (Lumia 1020)、フィーチャーフォン (N-08B)です。
CDS 5S & 携帯電話たち

まずはAndroidから。ペアリング自体は前々回の記事のとおり、スムーズにできました。実際にCDS 5S側から発着信操作も行ってみましたが、大きな問題はありませんでした。
SO-04Eのスクリーンショット

次にWindows Phone. こちらもペアリングは前々回の記事のとおり問題ありません。また、発着信の操作やPBAPによる電話帳のアクセスも問題なく可能でした。
Lumia 1020のスクリーンショット

最後にフィーチャーフォンのN-08B. この携帯電話はかなり大きいうえに標準ではスピーカーフォンで通話することしかできません。なので利用できれば便利かと思い試してみることにしました。
Windows PhoneやAndroidの場合はパスキーの入力などは特に必要なかった(自動的にキーを生成してやり取りしてくれる)のですが、N-08Bは自分でパスキーを設定する必要があります。まずはN-08Bに自分で決めたキーを入力し、その後CDS 5S側に同じパスキーを入力すると接続が完了します。
CDS 5S & N-08B

N-08の画面で確認したところ、CDS 5Sは、HFP, PBAP, A2DP, AVRCP以外にSPP, OPPに対応しているようです。おそらく前回紹介したようなスマートフォンと連携する機能にSPPを、連携アプリのAPKをスマートフォンに送るのにOPPを利用しているのでしょうか。(画像ではわかりにくいのですが、他の機種でグレーアウトになっているSPPとOPPが、CDS 5Sでは白字で表示されています。)
N-08Bのプロファイル表示

肝心の通話機能ですが、発信、着信とも可能なのですが、終話がうまくいきませんでした。発信時、着信時ともに"End Single Call"では電話を切ることができません。着信時は電源ボタンを押すことで終話が可能でしたが、発信時はそれでも終話できず、本体で切るしかない状態でした。やはり古い機種なので微妙な互換性の問題が生じているのでしょうか。もう少しいろいろ試してみたいと思います。

※本サイトで紹介する内容は、すべて個人的研究の範囲内で行っていることです。ここに書かれた内容を実行したことによる、データ(クラウド上を含む)・ソフトウェア・ハードウェアの障害および金銭的損害について、私が責任を負うことはできません。重要なデータはあらかじめバックアップを行い、内容を十分に理解したうえで、ご自身の責任の下で行ってください。
※また、ここで紹介している一部の機種には技適マークがついていません。このブログの目的はあくまでも研究であり、技適マークのない端末の利用をお勧めするものではありません。

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BluetoothハンドセットCDS 5Sを買ってみました (2)

前回紹介したBluetoothハンドセットとしても利用可能なGSM携帯CDS 5Sですが、Androidスマートフォン側に専用アプリをインストールすることにより、本体側と連携して様々な機能を利用することができるようになります。画像はCDS 5Sのメニューですが、"Smart sync"という項目があります。
CDS 5Sのメニュー

この中の項目からそのような連携機能を呼び出せるようになっています。
Smart syncメニュー

残念ながら専用アプリはGoogle Playからダウンロードすることはできません。本体内部のストレージに保存されているApkファイルからインストールを行う必要があります。CDS 5SをPCに接続すると2つのストレージが認識されますが、容量の小さい方にApkファイルが収められています。
CDS 5Sのストレージ

ファイルはApkフォルダの中に収められていますので、スマートフォン内部のストレージにコピーします。
Apkファイルの場所

このファイルからインストールを行うためにはAndroidのセキュリティ設定を変更する必要があります。「設定」アプリの「提供元不明のアプリ」のインストールを許可する必要があります。
セキュリティ設定

インストール用のApkファイルをファイルブラウザアプリからダブルタップしてインストールを開始します。
Android用Apkファイル

通話や電話帳などの機能にアクセスする必要があるため、様々な権限の承認を求められます。一通り確認して「インストール」をタップします。
インストール

インストールが完了したら起動します。「版本更新」をタップするとアプリが最新版に更新されます。
アップデート

アプリの設定画面。このアプリは中国語にしか対応していませんので、各機能に対応する日本語を右側に示してみました。
設定画面

「連携機能」をONにすると、接続先のBluetoothデバイスの選択画面になりますので、CDS 5Sをタップして選択します。
接続先選択

端末検索機能。上側「本机可被捜尋」にチェックを入れておくと、CDS 5S側から本体を探すことができるようになります。下側の「捜尋 CDS5S」をタップするとCDS 5Sを探す(CDS 5Sからサイレン音が鳴る)ことができます。
CDS 5Sを検索

こちらがCDS 5S側のLost Searchアプリ。虫眼鏡アイコンをタップすると本体からサイレン音が鳴ります。
Lost Search

こちらはAnti lost. Bluetoothの接続が切れる(圏外になる)とCDS 5Sからサイレン音が鳴ります。
Anti lost

カメラ操作機能の設定メニュー。「前置」でフロントカメラ、「後置」でメインカメラが選択できます。
カメラ選択

実際にカメラを操作しているところ。SmartWatchのものと異なりCDS 5S側でモニターできないので使い勝手は劣ります。
カメラ操作中

CDS 5SのCalendarアプリ。本体側の予定一覧がリスト形式で表示されます。項目をタップすると開始時刻、終了時刻などの詳細を確認することもできます。
Calendar

Gmailアプリ。残念ながら件数表示のみで、メッセージを読むことはできないようです。このほかにお天気アプリもありますが、日本国内では利用できないようです。
Gmail

ざっとこんな感じで、これらの連携機能はなかなか面白いのですが完成度ではSmartWatchのものにはかなり劣る印象です。まあ、オマケの機能なので仕方がないとは思いますが…。CDS 5Sにはこれ以外に画像ビューア、動画プレーヤ、音楽プレーヤの機能が搭載されています。それぞれ容量の大きい方のストレージ(上方のSSだと G: のほう)の、Photos, Videos, My Musicのフォルダに格納されたデータを閲覧することができます。対応データ形式は、画像がJPEG/BMP/GIF/PNG/GIF、動画が3GP/MPEG4、音楽がMP3/WAV/AMR/AWBとなっています。試しにMP3ファイルをいくつか転送してみましたが問題なく再生することができました。動画のほうはMPEG4対応ではありますが、H.264形式のものには対応していないようで、PSP用に作成したH.264の動画は音声のみで映像が再生されませんでした。ストレージ容量が小さいこともあり、あまり本格的に使用するのには向いていないとも思いますので、こちらもあくまでもオマケ程度と考えたほうがよさそうです。では、肝心のBluetoothハンドセットとしての使い勝手はどうでしょうか…? というわけで、次回はそれについて書いてみたいと思います。

※本サイトで紹介する内容は、すべて個人的研究の範囲内で行っていることです。ここに書かれた内容を実行したことによる、データ(クラウド上を含む)・ソフトウェア・ハードウェアの障害および金銭的損害について、私が責任を負うことはできません。重要なデータはあらかじめバックアップを行い、内容を十分に理解したうえで、ご自身の責任の下で行ってください。
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BluetoothハンドセットCDS 5Sを買ってみました (1)

Kyoro's Roomのほうの更新作業にかかりきりでまたもやブログをサボり気味なキョロです。更新とはいっても文字サイズなどを変えたり電子機器のスペック一覧表示機能を改良したりといった小規模な更新なのですが、CGIの大幅な書き換えや使い慣れないCSSの導入で思いのほか手間取ってしまいました…(汗)。

さて、言い訳はここまでにしてここからが本題です。スマホグッズをいろいろ扱っておられるpocketgamesさんのサイトを見ていて面白そうなBluetoothハンドセットCDS 5Sというものを見つけたのでポチって見ました。最初はホワイトを注文したのですが、初期不良なのか電源が入りませんでした。すぐに対応していただけたのですが、ホワイトは在庫切れとのこと。色はどちらでもよかったので、ブラックのものと交換していただきました。で、届いたのがこちら。
CDS-5S 外箱

中には本体のほかに、micro USBケーブル、中国語のマニュアル、イヤフォン、SIMトレイ用のピンなどが入っています。実はこの機械、GSM対応の携帯電話としての機能も備えており、micro SIMスロットがついているのです。ちなみに、本体には液晶保護フィルムが貼ってあります。保護フィルムを保護するシートをはがすときに慎重にやらないと、フィルムも一緒に剥がれてしまうため注意が必要です。
セット内容

電源を入れたところ。初期状態では表示言語は中国語となっています。
初期画面 (1)

まずは言語を英語に切り替えなければ全く操作がわかりません(汗)。「設置」アイコンをタップします。
初期画面 (2)

「手机設置」を選択して「確定」をタップします。
「設置」メニュー

「語言」を選択して「確定」をタップします。
「手机設置」メニュー

無事に英語に切り替えることができました。
言語選択メニュー

ロック画面。
CDS-5S ロック画面

裏面。iPhoneを小型にしたようなデザインです。質感は本物とは比べ物にならないぐらいオモチャっぽいですが…。
CDS-5S 背面

まずはズルトラGPeとペアリング。
Sony Z Ultra GPeとペアリング

CDS 5SはPBAPに対応しているようであり、電話帳にもアクセス可能です。電話帳はCDS 5S本体内にコピーされるわけではなく、Bluetooth接続中にのみスマホ本体の電話帳や発着信記録にアクセスできる仕組みのようです。
電話帳転送機能

転送された電話帳。一部の漢字は残念ながら文字化けしてしまいます。
転送された電話帳

Lumia 1020ともペアリングしてみました。
Lumia 1020とペアリング

CDS 5SはA2DPおよびAVRCPにも対応しているらしく、スマホ内の音楽なども再生することが可能です。
Lumia 1020の音楽を再生中

このCDS-5Sですが、このほかにもPMP的な機能や、スマートフォンと連携する機能もいろいろと付いています。次回はそのあたりについても試してみたいと思います。

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FX-502Pの隠れキャラクタ

FX-502Pについて検索していると、下のような画像を見かけることがあります。では、右端の"P"の文字はどうやって表示しているのでしょうか? 本日はそれについて書きたいと思います。
502P の表示

FX-502Pは7セグメントのLCDを使用していますが、プログラムの"P", 60進数の"°", 符号の"-"などの記号も表示されることがあり、このような記号にも内部的にコードが割り当てられています。Casio FX-502P Geekによると、コードの割り当ては下記のようになっているようです。

 0~9 (数字):0~9
 °(60進記号):10
 P (プログラム):11
 C (演算スタックエラー):12
 E (エラー):13
 - (マイナス):14
 ␣ (空白):15

これらのコードをおそらく内部的には4bitの16進数で表現しているものと思われます。ちなみにFメモリの"F"は"°"と同じコード10を利用しているようですが、表示の切り替えはモード(RUNモードなら"°"、WRTモードなら"F")に依存しているようです。これらのコードは通常の演算には用いられることはないのですが、ファームウェアのバグを利用してXレジスタ(表示内容)に呼び出すことができます。いったん呼び出されたものは演算を繰り返すことにより通常の数値(たとえば"P"なら11として扱われる)に戻ってしまうこともありますが、上手に扱えばバグった状態のまま演算を行うこともできます。このバグを誘発させるためには、メモリを間接指定するIND命令を用いて、実際には存在しないM32にアクセスを行います。バッファーオーバーランエラーでセキュリティーホールを突くのとと似たようなやり方なのではないかと思われます。

では、Casio FX-502P Geekに書かれている手順をもとに、"502P"を表示させてみることにします。まずは"P"を作らなければいけません。このためにはIND命令を利用して元となるバグった数値を作り出す必要があります。以下の操作はすべてRUNモードで行ってください。

 32 [Min] 0 [AC] [INV] [IND] [MR] 0

以上の操作でバグが誘発され、Xレジスタに異常なデータがセットされます。おそらくは本来のMメモリのアドレスではない無関係なアドレスのデータ(つまり、BCDではなくランダムな16進数のデータ)を読み込んでXレジスタに転送しているのではないかと思われます。

これに対して演算を行います。

 [×] [=] [÷] [=]

これで以下のような表示になると思います。

 0.°06876873

これをM2に記憶させてさらに演算を続け、"°"の一桁を取り出してみます。

 [÷] 0.1 [=] [INV] [RND] 1

これで"°"のみの表示になったと思います。試しにこの数値に1をかけてみてください。内部コードがまともな数値に戻ってしまい、10という答えが表示されるはずです。次に、"P"を作ってみます。以下のように操作します。

 [MR] 2 [+] [+] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=] [=]

結果は以下のようになると思います。

 14.P031531

ここから"P"を取り出してM1に記憶させておきます。

 [INV] [FRAC] [÷] 0.1 [=] [INV] [RND] 1 [Min] 1

さて、ここからがいよいよ本番です。ここまでの話から、"502P"を表示するには5020にM1を足せばいいように思われるかもしれません。ところが実際にこれを行うと"P"は11と解釈され、答は5031となってしまいます。そこでいろいろ考えたのですが、上記の方法を見ていて定数計算を利用しているところに目をつけました。どうやら定数計算はエラーチェックが甘いのか、あまり普通の数値に戻ることがないようです。これを利用して下記のようにしてみました。

 [MR] 1 [+] [+] 5009 [=] [=]

これで見事に"502P"の表示になったと思います。このほかの文字の表示方法についてもCasio FX-502P Geekにいろいろと説明がありますので、興味のある方は試されてみてはいかがでしょうか。

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