HPの金融電卓 HP-19BII

HPのRPN(逆ポーランド記法)方式のプログラム関数電卓は、その仕様上"4レベルRPN"というタイプと"RPL"というタイプに分けられます。"4レベルRPN"はその名の通り4段のスタック(X, Y, Z, T)を使用してRPNで演算するもので、これまで紹介したものの中ではHP-15CHP-41Cがこれに相当します。これに対して"RPL"を採用しているモデルにはHP-48GXがあります。RPLタイプの電卓はかなり機能が強化されており、スタック段数はメモリが許す範囲内で無制限となっているうえ、数式や文字列、リスト、行列、プログラムなど様々な形式のデータを「オブジェクト」として同等に扱えるようになっており、これをスタックに積んだりメモリに格納したりして演算などができるように設計されています。そんなRPLタイプの電卓の初期のモデルにHP-28Sというものがありますが、本日紹介するHP-19BIIはHP-28Sの兄弟機ともいえる金融電卓です。デザインはHP-28Sとほぼ同じで、左側にアルファベットキー、右側に置数キーなどが並んでいるクラムシェルスタイルとなっています。今回入手したものは英語版のマニュアルもついていました。CPUにはSaturnアーキテクチャのものを搭載し、ユーザーフリーエリアは6.5KBというスペックです。
本体とマニュアル

拡張スロットやシリアルポートは搭載していませんが、赤外線ポートを搭載しており、プリンタなどを接続できるようになっています。
赤外線ポート

電池は本体側面から入れるようになっています。単5乾電池を3本使用するのですが、電池を固定するばねがかなり強く電池ボックスのふたを破損する例が後を絶たないようで、同様の構造を持つHP-28Sの英語版Wikipediaに問題点として記載されています。私が入手したものもふたが破損したようで、金属板を加工したものに置き換えられていました。
電池ボックスのふた

画面構成はHP-48GXと同様で、フルドットマトリクス液晶を採用しており、最下行はファンクションメニューが表示されています。ちなみにこの画像は[MATH]キーを押してファンクションメニューに数学関数機能を呼び出しているところです。
HP-19BII

この電卓はHP-28Sの兄弟機ということでRPLが利用できると思ったのですが、実際には本格的なプログラム機能は搭載されておらず、初期状態では演算方式も代数記法となっています。ちなみに演算方式自体は[MODES]キーで設定画面に入ることで代数記法とRPNを切り替えることができます。実はこの電卓、内部的にはRPLのシステム(Syetem RPLと呼ばれるそうです)が採用されているようなのですが、ユーザーからはそれが一切見えないようになっているそうです。ユーザー層として技術者ではなく一般のビジネスマンをターゲットとしているため、計算機やコンピュータに詳しくない人でも使いやすいUIを被せたという感じなのでしょうか。そんな事情があるためか、一般的にHPの電卓を分類する場合には、このHP-19BIIもRPLモデルとして分類されることが多いようです。

プログラム機能は搭載されていない代わりに、強力なソルバー機能を搭載しています。これはSHARPのPC-126xの「ビジネスシミュレーション機能」のような数式記憶機能と、一般的な求根計算機能を合わせたような強力なもので、右辺,左辺に自由に複数の変数を含んだ式を記憶させ、各変数の内容を設定することで残りの変数の値を求めることができるというものです。たとえば、以下のような式を入力するとします。
 GOUKEI=TANKA×KOSUU
この場合、TANKAとKOSUUを設定するとGOUKEIを計算することができますし、GOUKEIとKOSUUを設定することでTANKAを計算することもできるようになっています。変数名の長さや個数、式の長さなどはメモリが許す限り無制限となっており、ソルバー機能・数式記憶機能として見た場合にもかなり強力な仕様になっていると思います。画像は実際に操作しているところです。このように複数の式を入力しておくことができ、選択して[CALC]を押すと実行できます。
ソルバーの数式一覧

実際に計算しているところ。下のファンクションメニューによって各変数の値を設定するようになっています。
計算中

このソルバー機能ですが、通常の手動計算では利用できない関数(絶対値、整数部除去、小数部除去など)や簡単な条件判断ができるIF関数(第1引数が真なら第2引数を結果として返し、偽なら第3引数を結果として返す)も備えています。他の本格的なプログラム関数電卓と比較してみてもジャンプやループがない程度で、たとえばEL-5103fx-4100Pなどに比べても複雑なプログラム計算を行うことができると思います。

ほかに、時計機能やテキストメモ機能も備えています。画像は時計表示。
時計表示

[APPT]を押すと簡単なスケジューラが起動します。APPT1~6の6件分のスケジュールが登録可能です。
スケジュール画面

テキストメモ機能です。スクリーンエディタになっています。
テキストエディタ

メモは複数保存できます。これは[GET]で複数のメモから選択する画面です。ファンクションメニューの[*NEW]は新規作成、右の2つは保存済みのメモファイルです。
テキストエディタのファイル管理画面

他には金融計算用の関数や統計グラフ(ヒストグラムや回帰分析など)描画機能なども備えています。高度なプログラムは組めませんが、実用的な道具としてはよくできていると思いました。オークションなどでもHP-28Sよりはかなり安価に手に入りますので、興味のある方は触れてみてはいかがでしょうか。

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tag : 金融電卓 プログラム関数電卓 HP 19BII 28S

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