CASIO PB-1000
CASIOポケコンシリーズ最終回の今日は、フラッグシップモデルともいえるPB-1000を紹介します。発売は1986年で、PB-500よりは後、FX-860Pvcよりは前になります。BASICの仕様などからPB-500/700と同じ系列に分類されますが、内部アーキテクチャ的にはFX-870P以降の機種と共通点(CPUにHD61700を採用している、機械語が使用できる、LCDの解像度が同じ、など)がみられます。標準状態ではRAMは8KB(RP-32装着により最大40KBまで増設可能)でうちユーザーフリーエリアは3.5KBとなっています。また、CASIOのポケコンとしては初めて機械語に対応し、HD61700のアセンブラを搭載しています。バリエーションとしてHD61700のアセンブラの代わりにCASLを搭載したPB-1000Cという機種も販売されていました。

この機種の外見上の特徴としてはクラムシェルスタイルであることが挙げられます。一見するとどうやって開くのかわかりにくいですが、右上のレバーを右にスライドさせると、銀色の部分が手前に開くようになっています。

発売時期的にはSHARPの当時のフラッグシップモデルであるPC-1600Kと近いので、比較のためにスペックを載せてみました。こうして比べてみると、PC-1600Kのほうはそれまでのポケコンを順当に進化させた(処理速度、記憶容量、表示能力の向上)印象が強いのに対して、PB-1000ではタッチパネルやファイルメニュー、アセンブラなど、それまでのポケコンにはみられなかった新しい機能が意欲的に取り入れられているのがわかると思います。純粋に性能だけを比較すると、記憶容量、処理速度の両面でPC-1600Kのほうが上ではありますが、これだけの価格差があれば当然かとも思われます。
この機種の最大の特徴であるファイルメニューの画面です。作成したBASICやアセンブラのプログラム、メモなどは、明示的に保存しなくてもRAMディスク上にファイルとして直接保存されます。この時期にはすでにRAMディスク自体はSHARPのポケコンなどでも一般的な機能として普及していましたが、まるでMS-DOSのようにここまで徹底しているのはこの機種が初めてなのではないでしょうか。メニューの最下行にはコマンドが表示されていますが、ここはタッチ操作によって選択するようになっています。これらのメニュー操作については、FX-870P系の機種にVX-MENUをインストールすると雰囲気がある程度わかるのではないかと思います(もちろんタッチ操作は不可ですが…)。

事実上の後継機種ともいえるAI-1000と並べてみました。周辺機器であるFA-7/MD-100を共用する関係上、AI-1000にカバーをセットして開いた状態にすると、ほぼ同じ大きさとなります。アーキテクチャ的にもAI-1000はPB-1000と類似していると思われ、同様のファイルメニュー(タッチパネルではないので代わりにファンクションキーがついています)を搭載していますが、増設RAMスロットの仕様は他の機種と共通になり、PB-1000用のRP-32ではなくFX-860P~890Pなどと同じRP-33を使用するようになっています。(RP-32はデコードされたCS信号線が4本あり、6264を4個使用する前提で設計されていたようです。それに対してRP-33はCS信号線は1本で、62256を1個使用する設計のようです。そういう理由でこの2つには全く互換性がありません。)

他のポケコンとも並べてみました。FX-870P(右上)やPB-500(右下)と比べても大型なのがわかると思います。上記のスペックを見てもわかる通り重量もかなりあり、手に持つとずっしりと重みを感じます。筐体にぶ厚い金属板を用いているのも理由のひとつかと思いますが、それにしても最近のタブレットPCより重い(Venue 8 Proが395g, Nexus 7(2012)が340g)ので、わざわざこれを持ち歩くのも…という感じですね。Venue 8 ProならこちらのPB-1000エミュレータも動いてしまいますし…。

本体の右側には拡張用の30pinコネクタが付いています。実はこのコネクタ、形状はFX-870Pなどのものと同じですが電気的には全く互換性がありません。そもそもPB-1000はUARTを内蔵していないので、そのままではPCとシリアル接続を行うのも容易ではないようです。しかし、ここに出ている信号線をソフトウェア的に制御することでシリアル接続が可能となる(PB-1000 Forever!やVintage programmable calculatorsに製作例があります)ので、アダプタを作成するだけで以前製作したUSBシリアルコンバータが使えそうです。

今回入手したものは欧州版でありドイツ語のマニュアルが付属していました。いろいろと調べながら使いこなせていければと思っています。今後の記事としては、上に書いたようなシリアル接続の実験に加え、RAM増設の実験などを予定しています。実はこのPB-1000、本ブログもご覧になられている親切な方から譲っていただいたものです。この場を借りまして深く御礼申し上げます。

この機種の外見上の特徴としてはクラムシェルスタイルであることが挙げられます。一見するとどうやって開くのかわかりにくいですが、右上のレバーを右にスライドさせると、銀色の部分が手前に開くようになっています。

発売時期的にはSHARPの当時のフラッグシップモデルであるPC-1600Kと近いので、比較のためにスペックを載せてみました。こうして比べてみると、PC-1600Kのほうはそれまでのポケコンを順当に進化させた(処理速度、記憶容量、表示能力の向上)印象が強いのに対して、PB-1000ではタッチパネルやファイルメニュー、アセンブラなど、それまでのポケコンにはみられなかった新しい機能が意欲的に取り入れられているのがわかると思います。純粋に性能だけを比較すると、記憶容量、処理速度の両面でPC-1600Kのほうが上ではありますが、これだけの価格差があれば当然かとも思われます。
PB-1000 | PC-1600K | |
CPU | HD61700 (クロック不明) | Z80互換(3.58Mhz) LH5803(1.3MHz) |
RAM(~最大) | 8KB(~40KB) | 16KB(~80KB) |
LCD | 192x32pixel (32桁x4行) | 156x32pixel (26桁x4行) |
漢字表示 | × | ○ |
タッチパネル | ○ | × |
機械語 | ◎(アセンブラ内蔵) | ○ |
RAMファイル | ◎(メニュー搭載) | ○ |
シリアルポート | オプション(FA-7/MD-100) | 内蔵 |
FDD | オプション(MD-100) | オプション(CE-1600F) |
サイズ(mm) | 187x177x24 (開) | 195x86x26 |
重量 | 435g | 300g |
電源 | 単3×3 (0.14w) | 単3×4 (0.48w) |
定価 | 39,800円 | 69,800円 |
この機種の最大の特徴であるファイルメニューの画面です。作成したBASICやアセンブラのプログラム、メモなどは、明示的に保存しなくてもRAMディスク上にファイルとして直接保存されます。この時期にはすでにRAMディスク自体はSHARPのポケコンなどでも一般的な機能として普及していましたが、まるでMS-DOSのようにここまで徹底しているのはこの機種が初めてなのではないでしょうか。メニューの最下行にはコマンドが表示されていますが、ここはタッチ操作によって選択するようになっています。これらのメニュー操作については、FX-870P系の機種にVX-MENUをインストールすると雰囲気がある程度わかるのではないかと思います(もちろんタッチ操作は不可ですが…)。

事実上の後継機種ともいえるAI-1000と並べてみました。周辺機器であるFA-7/MD-100を共用する関係上、AI-1000にカバーをセットして開いた状態にすると、ほぼ同じ大きさとなります。アーキテクチャ的にもAI-1000はPB-1000と類似していると思われ、同様のファイルメニュー(タッチパネルではないので代わりにファンクションキーがついています)を搭載していますが、増設RAMスロットの仕様は他の機種と共通になり、PB-1000用のRP-32ではなくFX-860P~890Pなどと同じRP-33を使用するようになっています。(RP-32はデコードされたCS信号線が4本あり、6264を4個使用する前提で設計されていたようです。それに対してRP-33はCS信号線は1本で、62256を1個使用する設計のようです。そういう理由でこの2つには全く互換性がありません。)

他のポケコンとも並べてみました。FX-870P(右上)やPB-500(右下)と比べても大型なのがわかると思います。上記のスペックを見てもわかる通り重量もかなりあり、手に持つとずっしりと重みを感じます。筐体にぶ厚い金属板を用いているのも理由のひとつかと思いますが、それにしても最近のタブレットPCより重い(Venue 8 Proが395g, Nexus 7(2012)が340g)ので、わざわざこれを持ち歩くのも…という感じですね。Venue 8 ProならこちらのPB-1000エミュレータも動いてしまいますし…。

本体の右側には拡張用の30pinコネクタが付いています。実はこのコネクタ、形状はFX-870Pなどのものと同じですが電気的には全く互換性がありません。そもそもPB-1000はUARTを内蔵していないので、そのままではPCとシリアル接続を行うのも容易ではないようです。しかし、ここに出ている信号線をソフトウェア的に制御することでシリアル接続が可能となる(PB-1000 Forever!やVintage programmable calculatorsに製作例があります)ので、アダプタを作成するだけで以前製作したUSBシリアルコンバータが使えそうです。

今回入手したものは欧州版でありドイツ語のマニュアルが付属していました。いろいろと調べながら使いこなせていければと思っています。今後の記事としては、上に書いたようなシリアル接続の実験に加え、RAM増設の実験などを予定しています。実はこのPB-1000、本ブログもご覧になられている親切な方から譲っていただいたものです。この場を借りまして深く御礼申し上げます。
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